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「食品、添加物等の規格基準」(昭和三十四年十二月二十八日)(厚生省告示第三百七十号) P13

○ 生食用かき


1 生食用かきの成分規格
(1) 細菌数は,検体1gにつき50,000以下でなければならない。
(2) E.coli最確数は,検体100gにつき230以下でなければならない。
(3) 生食用かきの細菌数の測定法及びE.coli最確数の測定法は,次のとおりとする。
1.検体の採取及び試料の調製
むき身にして販売されるかきについては,200g以上を滅菌器具を用いて滅菌容器に採取し,これを検体とする。
からつきのまま販売されるかきについては,からの表面をアルコール綿で消毒したのち,滅菌器具を用いて,からを取り除いた上,貝汁じるを含め200g以上を滅菌容器に採取し,これを検体とする。
次に,検体を滅菌ホモジナイザーのコツプに移したのち,同量のリン酸緩衝希釈水を加えて細砕したものを試料原液とする。
次に,試料原液20mlにリン酸緩衝希釈水80mlを加えて検体の10倍希釈液を,さらに当該10倍希釈液10mlにリン酸緩衝希釈水90mlを加えて検体の100倍希釈液を作製して試料とする。このほか,必要に応じて,100倍希釈液の作製方法に準じて検体の段階希釈液を作製して試料とする。
リン酸緩衝希釈水 リン酸一カリウム(無水)34gを500mlの精製水に溶かし,これに約1mol/l水酸化ナトリウム溶液約175mlを加えてpH7.2になるように調製し,さらに精製水を加えて全量を1,000mlとしたものを原液とする。この原液1.25mlに精製水を加えて1,000mlとし,高圧滅菌を行う。
2.細菌数(生菌数)の測定法
調製した試料のうち,1平板に30個から300個までの集落がえられる希釈液を選んで,第1食品の部D 各条の項の○ 氷雪の1 氷雪の成分規格の(2)の2に準じて測定する。
3.E.coli最確数の算定法
試料原液2ml,10倍希釈液1ml及び100倍希釈液1mlを,それぞれ5本のE.C.はつ酵管に接種し,恒温水槽そうを用いて44.5°(上下0.2°の余裕を認める。)で24時間(前後2時間の余裕を認める。)培養する。その際ガス発生を認めた試料原液又は試料は,E.coli陽性とする。検体100gに対するE.coli最確数は,E.C.はつ酵管に接種したこれらの試料原液又は試料のうち,E.coli陽性を示したものを接種したE.C.はつ酵管の数に応じて,次の表(以下「最確数表」という。)により算出された係数を10倍したものとする。
(4) むき身にした生食用かきの腸炎ビブリオ最確数は,検体1gにつき100以下でなければならない。この場合,腸炎ビブリオ最確数の測定法は,第1 食品の部D 各条の項の○ 生食用鮮魚介類の1 生食用鮮魚介類(切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。)であつて,生食用のもの(凍結させたものを除く。)に限る。以下この項において同じ。)の成分規格の1.及び2.に準じて行う。


2 生食用かきの加工基準
(1) 原料用かきは,海水100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海域で採取されたものであるか,又はそれ以外の海域で採取されたものであつて100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海水又は塩分濃度3%の人工塩水を用い,かつ,当該海水若しくは人工塩水を随時換え,又は殺菌しながら浄化したものでなければならない。
海水の大腸菌群最確数の測定法 検体として採取した海水10mlを5本の倍濃度乳糖ブイヨンはつ酵管に,1mlを5本の乳糖ブイヨンはつ酵管に,0.1mlを5本の乳糖ブイヨンはつ酵管にそれぞれ接種し,35°(上下1.0°の余裕を認める。)で培養する。24時間(前後2時間の余裕を認める。)後又は48時間(前後3時間の余裕を認める。以下この目において同じ。)後にガス発生を認めた海水は,大腸菌群推定試験陽性とし,直ちに次の確定試験を行う。
大腸菌群推定試験陽性の海水を接種した倍濃度乳糖ブイヨンはつ酵管又は乳糖ブイヨンはつ酵管の培養液を,直径3mmの白金耳でB.G.L.B.はつ酵管に1白金耳移植する。これを35°(上下1.0°の余裕を認める。)で48時間培養する。その際ガス発生を認めた海水は,大腸菌群確定試験陽性とする。検体100mlに対する大腸菌群最確数は,検体として採取した海水のうち,大腸菌群確定試験陽性を示した海水を接種した倍濃度乳糖ブイヨンはつ酵管の数に応じて,最確数表により算出された係数とする。この場合,当該表中「試料原液」とあるのは「検体である海水10ml」と,「検体の10倍希釈液」とあるのは「検体である海水1ml」と,「検体の100倍希釈液」とあるのは「検体である海水0.1ml」とする。
(2) 原料用かきを一時水中で貯蔵する場合は,100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海水又は塩分濃度3%の人工塩水を用い,かつ,当該海水若しくは人工塩水を随時換え,又は殺菌しながら貯蔵しなければならない。
(3) 原料用かきは,水揚げ後速やかに衛生的な水で十分洗浄しなければならない。
(4) 生食用かきの加工は,衛生的な場所で行わなければならない。また,その加工に当たつては,化学的合成品たる添加物(次亜塩素酸ナトリウムを除く。)を使用してはならない。
(5) むき身作業に使用する水は,飲用適の水,殺菌した海水又は飲用適の水を使用した人工海水を使用しなければならない。
(6) むき身作業に使用する器具は,洗浄及び殺菌が容易なものでなければならない。またその使用に当たつては洗浄した上殺菌しなければならない。
(7) むき身容器は,洗浄及び殺菌が容易な金属,合成樹脂等でできた不滲透性のものでなければならない。またその使用に当たつては,専用とし,かつ,洗浄した上殺菌しなければならない。
(8) むき身は,飲用適の水,殺菌した海水又は飲用適の水を使用した人工海水で十分洗浄しなければならない。
(9) 生食用冷凍かきにあつては,加工後速やかに凍結させなければならない。
(10) 生食用かきの加工中に生じたかきがらについては,当該加工を行う場所の衛生を保つため速やかに他の場所に搬出する等の処理を行わなければならない。


3 生食用かきの保存基準
(1) 生食用かきは,10°以下に保存しなければならない。ただし,生食用冷凍かきにあつては,これを−15°以下で保存しなければならない。
(2) 生食用かきは,清潔で衛生的な有蓋がいの容器に収めるか又は清潔で衛生的な合成樹脂,アルミニウム箔はく若しくは耐水性の加工紙で包装して保存しなければならない。ただし,生食用冷凍かきにあつては,清潔で衛生的な合成樹脂,アルミニウム箔はく又は耐水性の加工紙で包装して保存しなければならない。

参考:

食品衛生法施行規則(抄) (昭和二十三年七月十三日)(厚生省令第二十三号) (平成23年1月31日現在)
第二章 表示 (昭三二厚令三三・全改、昭四七厚令四七・改称)

第二十一条 別表第三に定める食品又は添加物であつて販売の用に供するものの表示の基準は、次のとおりとする。
  〜略〜
イ 名称(別表第一に掲げる添加物(別表第四に掲げるものを除く。)にあつては、別表第一に掲げる名称に限る。)
ロ 定められた方法により保存した場合において品質が急速に劣化しやすい食品又は添加物にあつては、消費期限(定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。以下同じ。)である旨の文字を冠したその年月日及びその他の食品又は添加物にあつては、賞味期限(定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であつても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。以下同じ。)である旨の文字を冠したその年月日
ハ 製造所又は加工所の所在地(輸入品にあつては、輸入業者の営業所所在地。以下同じ。)及び製造者又は加工者(輸入品にあつては、輸入業者。以下同じ。)の氏名(法人にあつては、その名称。第八項及び第十項において同じ。)
チ 保存の方法(法第十一条第一項の規定により保存の方法の基準が定められた食品及び添加物にあつては、その基準に合う保存の方法)並びに同項の規定により使用の方法の基準が定められた食品及び添加物にあつては、その基準に合う使用の方法
  〜略〜
ヤ 切身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く。)を凍結させたもの及び生かきにあつては生食用であるかないかの別
サ 生かき(生食用のものに限る。)にあつては、採取された海域又は湖沼
  〜略〜