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タイトル特定加熱食肉製品
記事No3531
投稿日: 2022/03/22(Tue) 18:04
投稿者カン   <iakan0717@gmail.com>
初めまして。
特定加熱食肉製品について悩んでおります。
特定加熱食肉製品と言えば、ほぼローストビーフを想定して作られた規格ではないかなと思っておりますが、世の中には鴨胸肉であったり、羊の骨付きロースの部分であったり、赤みを残して食する食べ物は他にもあります。こういった鴨胸肉や羊の肉が特定加熱食肉製品として流通することに問題は無いのでしょうか?豚などは芯温63℃以上で加熱するように注意喚起されていたりしますが、それがHEV等を想定しての話しであれば、鴨胸肉や羊ロースについても同様のリスク管理をするべきであるのか、鴨や羊は問題ないと判断してよいものなのか、ご意見お伺いしたいです。

タイトルRe: 特定加熱食肉製品
記事No3532
投稿日: 2022/03/23(Wed) 00:02
投稿者おっと

> 特定加熱食肉製品と言えば、ほぼローストビーフを想定して作られた規格ではないかなと思っておりますが、世の中には鴨胸肉であったり、羊の骨付きロースの部分であったり、赤みを残して食する食べ物は他にもあります。

そのとおりですね。私は食肉製品については詳しくないので少し調べてみました。


「食品、添加物等の規格基準」では、特定加熱食肉製品の原料肉は牛肉に限定されてはいないようです。


> 豚などは芯温63℃以上で加熱するように注意喚起されていたりしますが、それがHEV等を想定しての話しであれば、

「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について」(平成27年6月2日)(食安発0602第1号)によると、そのようですね。


> 鴨胸肉や羊ロースについても同様のリスク管理

今のところ、めん羊からもHEV抗体が検出されるとの報告があるようですね。

> 豚などは芯温63℃以上で加熱するように注意喚起されていたりしますが、

「食品、添加物等の規格基準」の製造基準に従って製造された「特定加熱食肉製品」は豚の食肉の基準は適用されないようです。

> 羊の骨付きロースの部分であったり、赤みを残して食する食べ物は他にもあります。

これらの商品の製造実態には詳しくないので、良く分かりません。

参考までに、調べてみたことを以下に貼っておきます。

◇ 食品健康影響評価のためのリスクプロファイル
  〜 豚肉中の E 型肝炎ウイルス 〜 (2006年10月作成)
https://www.fsc.go.jp/senmon/biseibutu/risk_profile/hevirus.pdf

 また、HEV が増殖可能な培養方法が確立されていないため、加熱時の時間・温度、酸性度(pH3 で安定)など調理・
加工によるウイルスの不活化に関した入手可能なデータが少ないことが、食品衛生上の対策案を考慮する上で問題となり得る。

------------------------------------
◇ 食品別の規格基準について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/jigyousya/shokuhin_kikaku/index.html
○ 食肉製品
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000071198.pdf

3.特定加熱食肉製品
特定加熱食肉製品は、次の基準に適合する方法で製造しなければならない。
a 製造に使用する原料食肉は、と殺後 24 時間以内に4°以下に冷却し、かつ、冷却後4°以下で保存した肉塊で pH が 6.0 以下でなければならない。
b〜f 省略
g 製品は、肉塊のままで、その中心部を次の表の第1欄に掲げる温度の区分に応じ、同表の第2欄に掲げる時間加熱し、又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌しなければならない。この場合において、製品の中心部の温度が 35°以上
52°未満の状態の時間を 170 分以内としなければならない。

加熱時間の表(抄)
55℃ → 97分
60℃ → 12分
62℃ → 6分
63℃ → 瞬時

--------------------------------
○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について(平成五年三月一七日)(衛乳第五四号)

(2) 特定加熱食肉製品(その中心部の温度を六三度で三〇分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法以外の方法による加熱殺菌を行った食肉製品をいう。ただし、乾燥食肉製品及び非加熱食肉製品を除く。以下同じ。)にあっては、特定加熱食肉製品である旨及び水分活性を表示することとしたこと。

---------------------------------
○食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について(平成27年6月2日)(食安発0602第1号)

第1 改正の経緯
前略
このような状況を踏まえ、平成25年8月から薬事・食品衛生審議会において食肉の生食に関する対応について検討を行ってきたところ、豚の食肉の生食については、飲食店等における提供実態があること、E型肝炎ウイルス(以下「HEV」という。)、食中毒菌及び寄生虫による危害要因があること、HEVや寄生虫は内部汚染であるため内部までの加熱以外のリスク低減策が考えられないこと等を踏まえ、公衆衛生上のリスクが特に高いことから生食用として提供を禁止する旨結論付けられた。このため、今般、国民の健康の保護を図るため、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第11条第1項に基づく基準を設定し、豚の食肉を生食用として販売することを禁止するものである。

第2 改正の内容
前略
牛の肝臓又は豚の食肉の中心部の温度を63℃で30分間以上加熱するか,又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならない。

第4 運用上の注意
1 規格基準でいう豚の食肉には、豚の内臓が含まれるものであること。
6 規格基準の第1食品の部D各条の項○食肉製品に規定する製品(乾燥食肉製品、非加熱食肉製品、特定加熱食肉製品及び加熱食肉製品)は今回新たに設けた豚の食肉の基準は適用されないこと。

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◇ E型肝炎ウイルスの感染事例・E型肝炎Q&A(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819-2a.html


Q17 シカやイノシシ、豚以外の食肉は心配ないのですか?
A めん羊、山羊からもHEV抗体が検出されるとの報告がありますが、加熱調理を行うことによりHEVは感染性を失うため、中心部まで火が通るよう十分に加熱すれば食肉による感染の危険性はありません。

タイトルRe^2: 特定加熱食肉製品
記事No3533
投稿日: 2022/03/23(Wed) 14:44
投稿者カン   <iakan0717@gmail.com>
おっと様
ご丁寧な返答ありがとうございました。
食品安全委員会の資料で鶏や牛からもHEV抗体が検出されたとされる資料を追加で見つけました。
https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/H21_2.pdf
牛肉や鶏肉は条件次第で生肉の提供が認められているのに、一方でこういう資料があるのは、やはり提供者がリスクを理解した上で提供の判断をするしかないということなんですかね。
有難うございました。

タイトルRe^3: 特定加熱食肉製品
記事No3534
投稿日: 2022/03/23(Wed) 16:04
投稿者おっと
カン 様

食品安全委員会の資料で鶏や牛からもHEV抗体が検出されたとされる資料、有難うございます。

この資料によると
「HEV は、熱抵抗性のウイルスであり肝臓中のウイルスを 56 度 1 時間処理しても完全に不活化されない。また、アルブミン液中では 60 度 5 時間処理でも十分な不活化効果が得られず、乾燥状態では 60 度でもウイルスは感染性を有している。」
ということですから、特定加熱食肉製品の加熱条件では十分な不活化効果を得られない可能性があるようですね

> やはり提供者がリスクを理解した上で提供の判断をするしかないということなんですかね。


そうですね。提供する場合は、原料食肉の吟味でリスク低下を図ることが求められているように思います。