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(更新 2011/02/14 ,04/24 作成 2010.09.26)

資料 22 カンピロバクター食中毒発生状況 (1996 〜2010年)




 1 カンピロバクターによる食中毒は患者2人以上の事例で見ると増加傾向にあったが、2008年にピークを示し、年間約250件で高止まりしている。



表1 カンピロバクター食中毒の発生状況(平成1996年〜2010年)(2011/04/24現在)

発生年 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
事件数(全事例) 65 257 553 493 469 428 447 491 558 645 416 416 509 345 361
患者数(全事例) 1,557 2,648 2,114 1,802 1,784 1,880 2,152 2,642 2,485 3,439 2,297 2,396 3,071 2,206 2,092
事件数(患者2人以上事例) 45 73 63 77 95 106 120 150 136 217 180 215 299 211 241
患者数(患者2人以上事例) 1,537 2,464 1,624 1,386 1,410 1,558 1,825 2,301 2,063 3,011 2,061 2,195 2,861 2,072 1,972
事件数(患者1人事例) 20 184 490 416 374 322 327 341 422 428 236 201 210 134 120
患者数(患者1人事例) 20 184 490 416 374 322 327 341 422 428 236 201 210 134 120

参照文献:カンピロバクター食中毒の現状と対策について 病原微生物検出情報 (Vol. 31 p. 4-5: 2010年1月号)
       http://idsc.nih.go.jp/iasr/31/359/graph/df35911.gif

       厚生労働省食中毒統計資料
       http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/04.html#4-2


 統計が患者数1名と2名以上に分けて作成されていることの補足説明:
   カンピロバクターは医療機関において、下痢患者の検便結果でカンピロバクターを検出したことにより患者1名の散発事例として保健所へ届出られることが多い。
   また、潜伏時間も2〜7日と長く、患者1名及び家族だけの散発事例では原因食品を特定することはほとんど不可能であり、広島市(及び広島県)を除き食中毒事件として計上しないことが多い。
   つまり、患者1人事例は広島市のみの実態を示し、その意味するところは国内に多数の潜在患者が存在するということである。潜伏時間が短く、集団食中毒事件として報告されることが多いブドウ球菌などとの大きな違いである。
   なお、小児の下痢患者からの本菌検出率は17.2%、原因菌の明らかにされた患者中カンピロバクター腸炎は76.8%であったという報告がある。(1)

 参照文献:(1)坂崎ら,食水系感染症と細菌性食中毒 中央法規出版 p134-135,1991          

 参考 厚労省食中毒統計より管理人作成のグラフ

補足(2010/04/24)-----------------------------
---- 以下は 2010/11/30 時点で書いたものです。-----------------------------

2 カンピロバクター食中毒は減少に転じたのか?

 図1からカンピロバクター食中毒は2008年を例外として2005年から患者2人以上事件では200件で高止まりを見せているようにも見えるし、2009年から減少に転じたようにもみえる。
 そこで、現在は年度途中であるので、月別の発生状況をとり、細かな動きを見ることができるようにしたのが図2である。
 本年分は11月30日現在の速報値であり特に6,7月分については報告遅れによる修正(追加)が生じると思われる。
 図2からは平成20年6月から12月かけて例年の2倍ほどの事件が発生していることが分かり、何らかの事故が発生したと思われます。
 結論を出すためにはもううしばらく様子見が必要のようです。

 参考のために図3に大阪府での1月〜9月までの年別発生状況(件数)のグラフを示した。
 このグラフは比較のため各年とも1月〜9月発生分をとっている。(平成22年は11/30現在速報値)
 このグラフからは21年以降頭打ち傾向が見られる。このグラフでは、全国での発生状況が比較できないため全国のデータを加えたのが図4である。
 図4には興味深いものがあるので、これについては別途検討します。





--------補足(2010/04/24)-----------------------------
発生報告に遅れた事例があったためめ、図4は最終的に次のようになりました。



図4から、全国での発生件数と大阪府での発生件数の変動に類似があることが見て取れますので、発生件数の変動の要因について以下に考えてみました。

ローカル的な要因
鶏肉の処理は全国各地の食鳥処理場で行われ、提供は消費地のそれぞれで行われています。肉の生食はどちらかというと流行が広がっているとおもわれます。これらは大阪でのピークと全国でのピークの一致を説明できません。
全国的な要因
月別の発生件数(図2)をみると春から秋にかけて件数が増加します。また、平成20年6月に特異的に件数が多いことが分かります。
全国的に影響を与える物として天候があります。以下気象庁20年6月の天候から引用です。
--引用開始--
前線が日本列島南岸に停滞しやすかったことや低気圧の通過により、東日本太平洋側から西日本にかけては瀬戸内海沿岸など一部を除き、降水量は平年を上回るところが多く、特に九州地方や関東甲信地方では降水量が多かった。また、日照時間は東海地方から西日本にかけて少なく、特に西日本ではかなり少なかった。一方、前線や低気圧の影響が小さかった東日本日本海側と北日本で降水量が少なかった。
--引用終わり--

ここから私の推測です。カンピロバクターの養鶏場内での蔓延は給水装置を介することが多いと聞いたことがあるように思います。
降雨で湿度が高いと不衛生な環境となりやすく、乾燥に弱いカンピロバクターの鶏体外での生存に好都合なのではないか。
また、高湿度な環境は食鳥処理場において器具及び、と体に付着した菌の生残に好都合で汚染が広がるのではないか。



参考資料:
  厚生労働省 食中毒統計資料 過去の食中毒事件一覧、及び平成22年(2010年)食中毒発生事例(速報) 2010/09/26 現在による。
  大阪府    平成22年大阪府食中毒発生状況速報平成21年大阪府食中毒発生状況