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(最終更新2017/07/30,作成2011/02/14)

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資料 1 厚労省の法令等データベースシステムから

○赤痢対策の推進について
(昭和三四年七月一八日)(衛発第六七二号)(各都道府県知事・各指定都市市長・各政令市市長あて厚生省公衆衛生局長通達)

2 病原体保有者の検索
 病原体保有者は、潜在伝染源として赤痢蔓延の重要な一因となつているので、特に赤痢回復者、患者、保菌者の家族及びこれらとの接触者、多発地区住民、飲食物取扱者、水道関係者等につき、次により病原体保有者の発見に努めること。
なお、この場合の検査方法は、「衛生検査指針」により検体の保存、赤痢菌の分離及び確認を行うこと。また、赤痢菌の抗生物質に対する感受性測定を行う場合は当分の間昭和三三年一一月四日衛発第九七九号の通知による「赤痢菌耐性検査法」により行うこと。
(1) 飲食物取扱者について
 飲食店営業、氷菓子製造販売業、魚介類販売業、豆腐製造販売業、その他生鮮食料品取扱業に従事する者及び集団給食従事者に対しては少くとも毎月一回健康診断を実施するよう指導すること。ただし、これが行われない場合あるいは不十分な場合において特に必要と認めるときは、伝染病予防法第一九条により健康診断を実施すること。なお、この場合下痢患者に対しては重ねて健康診断を行う等殊に慎重を期すること。
(2) 水道関係者について
 (イ) 水道法の適用をうける施設については、水道法による健康診断を行うほか、夏季においては、毎月一回健康診断を行うよう指導すること。
 (ロ) 水道法の適用をうけない給水施設においても前項に準じて健康診断が実施されるよう指導すること。
 (ハ) 以上の健康診断が行われない場合又は不十分な場合等において特に必要と認めるときは、伝染病予防法による健康診断を実施すること。なお、この場合下痢患者に対しては重ねて健康診断を行う等特に慎重を期すること。
(3) 赤痢多発地区の住民について
 赤痢の多発地区であつて、特に必要と認められる地区の住民に対しては、伝染病予防法による健康診断を行うこと。この場合の健康診断の方法は、同一人につき数回検便 を行うほか、問診等を行つたうえ、下痢患者に対しては重ねて 検便 を行う等、特に慎重を期すること。
また、この実施に当つては事前に十分に計画を検討し、その年度における該当地区住民の健康診断を終了したときは、厚生省に対し、その結果を報告すること。


○腸チフス対策の推進について(昭和四一年一一月一六日)(衛発第七八八号)(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省公衆衛生局長通達)
 わが国における腸チフス患者の発生は、近年減少の一途をたどつて来ていたところであるが、最近になつて青森、東京、静岡、姫路と集団発生が全国各地で相次ぎ、本年九月一七日現在七六九名を数え、前年同期に比べ約二倍増を示し、再び増加の傾向がみられる。また、質的な面からみて、抗生物質の普及等に伴い致命率は激減したが、一方チフス菌検出の困難性、定型的症状の変化等を招来したため、発病から診定までの期間の延長、診断の困難性をきたし、流行の発生、拡大の要因となつている。このような現状に鑑み、今般別紙の通り腸チフス防疫対策実施要綱を定めたので、今後はこれにより本対策の適確な実施を期されたい。
なお、パラチフスについても本通知に準じて防疫対策を実施されたい。
別紙
腸チフス防疫対策実施要綱
一 目的
腸チフスは赤痢と同様、経口伝染病であり、腸チフスの防疫対策を実施する際に赤痢の防疫対策が参考となる面も多々あるが、腸チフスの特殊性から、流行における永続保菌者の意義が赤痢に比べて大きい。従つて、防疫対策の重点は平常時における腸チフス回復者、病原体保有者、特に永続保菌者の完全な把握と長期間の管理にあり、一方、患者発生時においては、流行の早期認知、流行の規模の把握、感染経路の究明、感染源の確認に必要な疫学調査の適正な実施にある。かかる観点から、その防疫対策の徹底を期するため、本要綱を作成したものである。
なお、パラチフスについてもこれに準じて防疫対策を実施されたい。
二 平常時における防疫措置
(一) 腸チフス回復者に対する措置
退院後六ケ月は毎月一回、その後は必要に応じて健康診断を実施するものとし、得られた検査成績等必要事項を記入した「患者管理カード」を作成し保存すること。
(二) 病原体保有者に対する措置
病原体保有者に対する収容隔離及び従業禁止等の措置は次により実施すること。
 (1) 病原体保有者のうち、食品取扱者で仕事場に居住しているため食品に接する機会の多いもの、密集生活をしているため他に感染させるおそれのあるもの、治療及び指導監督の徹底を必要とするものに対しては伝染病予防法(明治三○年法律第三六号。以下「法」という。)第七条及び同法施行令(昭和二五年政令第一二○号)第四条のただし書きの規定により収容隔離の措置をとること。
 (2) 食品取扱者で病原体を保有するもののうち、法第七条による収容、隔離の必要のないものについては法第八条の二の規定により従業禁止が励行されるよう十分な監督を行なうこと。
 (3) 在宅病原体保有者については伝染病予防法施行規則(大正一一年内務省令第二四号)第一一条の遵守事項につき指導監督すること。
 (4) 流行をおこす恐れのある職種の永続保菌者については、特に根治手術(たとえば胆のう切除術等)を受けるよう指導すること。しかし、なお排菌するものについては、転職するなどしかるべき措置をとるよう十分指導すること。
 (5) 食品取扱者、水道関係者等の病原体保有者は、潜在感染源となり腸チフスまん延の重要な一因となる危険性が大であるところから、その発見に努めること。
(三) 定期の予防接種
(四) 衛生教育の徹底
 食品取扱者、水道関係者、家庭の主婦、学童等を重点的に衛生教育の対象とし、地区組織、関係機関、学校教育等の活用により、腸チフスについての予防思想を全国民に滲透させるよう努めること。
特に有熱患者の早期受診、早期診断を困難にする転医の防止、便所内の手洗設備の設置、便所の消毒、水洗化の促進、用便後、調理と食事前の手洗励行、生水、生物の危険性等について、十分指導し周知徹底を図ること。


○水道法の疑義応答について(昭和三三年九月二五日)(衛水第四四号)(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省公衆衛生局水道課長通知)

 過般全国において開催した水道法施行のための説明会における水道法に関する質疑応答を別添のとおりとりまとめたので送付するから執務上の参考に資せられたい。
第三条(用語の定義)関係
第二十一条(健康診断)関係
問84 健康診断はどの程度の検査か。
答 病原体がし尿に排泄される伝染病、すなわち赤痢、腸チフス、パラチフス、コレラ、アメーバ赤痢、急性灰白髄炎(小児麻痺)、流行性肝炎、泉(いづみ)熱、伝染性下痢症及び各種下痢腸炎などの診断を行い、病原体検索は赤痢菌、腸チフス菌、パラチフス菌を対象とし必要に応じてコレラ菌、赤痢アメーバ、 サルモネラ 等について行うものとする。
問85 健康診断をうける者の範囲を具体的に示されたい。
答 施設の構内に居住している者は全部(家族、同居者等)うけなければならない。構外であつても施設に接近し又は離れていても日常施設の構内を往来する場合、その他施設の衛生管理上必要と認める場合は構内居住者同様健康診断を行うことが望ましい。臨時の職員、作業人等もこれに準ずる。
問86 健康診断に必要な、保管すべき記録書類如何。
答 様式は定められていないが、診断年月日、診断をうけた者の氏名、性、年齢、診断結果、診断医師名、検便 成績、同検査場所等が必要である。ただし他の法令(地方公共団体の条例及び規則を含む。)に基いて行われた健康診断の内容が右の健康診断の内容に相当するものであるときは、その記録をもつて代用することができる。
第二十二条(衛生上の措置)関係
問87 「病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれのある場合」を平易に説明されたい。
答 水質検査の項目として「病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物」とは大腸菌群、一般細菌のことであり、「若しくは物質」とはアンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素、塩素イオン及び過マンガン酸カリウムが消費される物質である。以上の項目についての「多量に含むおそれのある場合」とは水質基準に定められた以上に含まれるおそれのある場合を言い具体的には、昭和三十三年二月十二日厚生省衛発第一二八号公衆衛生局長通達「水道法施行に伴う事務処理について」の五の5の(6)に掲げるような場合をいう。

資料 2 その他

「大量調理施設衛生管理マニュアル」の改正について(生食発0616第1号 平成29年6月16日)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168026.pdf
5.その他
(1)〜(3)略
(4)調理従事者等の衛生管理
@,A略
B 調理従事者等は臨時職員も含め、定期的な健康診断及び月に1回以上の検便を受けること。検便検査注7には、腸管出血性大腸菌の検査を含めることとし、10月から3月までの間には月に1回以上又は必要に応じて注8ノロウイルスの検便検査に努めること。
C ノロウイルスの無症状病原体保有者であることが判明した調理従事者等は、検便検査においてノロウイルスを保有していないことが確認されるまでの間、食品に直接触れる調理作業を控えるなど適切な措置をとることが望ましいこと。
D 調理従事者等は下痢、嘔吐、発熱などの症状があった時、手指等に化膿創があった時は調理作業に従事しないこと。
E 下痢又は嘔吐等の症状がある調理従事者等については、直ちに医療機関を受診し、感染性疾患の有無を確認すること。ノロウイルスを原因とする感染性疾患による症状と診断された調理従事者等は、検便検査においてノロウイルスを保有していないことが確認されるまでの間、食品に直接触れる調理作業を控えるなど適切な処置をとることが望ましいこと。

F,G略
厚生労働省のパブコメ資料

@「大量調理施設衛生管理マニュアルの改正案に関する御意見の募集について」に寄せられた御意見について(抄)(平成29年6月16日)
  http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160494&Mode=2
2.検便検査及び従事者の健康確認に関すること
【意見】例
・ノロウイルスの潜伏期間は24〜48時間であり、検便ではノロウイルス感染は予防できないとするのが専門家の共通した見解と理解している。ノロウイルスによる食中毒の予防は、不顕性感染者の発見ではなく、手洗い・手袋作業の励行で予防すべきと考える。

【回答】
 ノロウイルスによる食中毒発生原因の約80%は、調理従事者からの汚染であると報告されています。そのため、毎日、作業前に調理従事者の健康状態を確認し、体調不良者がいる場合は、食品に直接接触する業務を控えるなどの対応が重要であり、さらに、手洗い、手袋の着用、便所の清掃、消毒など一般衛生管理の取組が必要です。毎月1 回程度の検便検査では調理従事者に起因するノロウイルス食中毒を完全に予防することはできません。
 ノロウイルスの検便検査については、御指摘を踏まえ、調理従事者の健康状態の確認に加えて、必要な場合の病原体保有者のスクリーニング手段と位置付け、流行時期の10月から3月までの間には月に1回以上又は必要に応じ実施に努めることと本マニュアルの改正内容を修正しました。
 具体的には、調理従事者の健康確認の補完手段とする場合、家族等に感染性胃腸炎が疑われる有症者がいる場合、病原微生物検出情報におけるノロウイルス検出状況の増加時に実施する場合などを必要な場合としました。また、ノロウイルスの検便検査の方法について、試験法には感度の違いがあることから、遺伝子型によらず、概ね便1g当たり10の5乗オーダーのウイルスを検出できる検査法を用いることが望ましいとしました。
Posted by ノロウイルス対策 at 2017年06月20日 10:12
・ノロウイルスの検便検査の努力義務化については、以下の課題があると考えます。
@一般に健康管理に用いられる簡易な検便検査は、ノロウイルス量の少ない無症状病原体保有者を確実に把握するには十分でないこと。
A一方で、PCR検査等の検出力に高い検査方法は費用が高額であり、定期検査にはなじまないこと。
B適切な検査間隔等の実効性のある検査体制について、エビデンスが十分確立されていないこと、
C罹患率の低い無症状者に対して検査を行えば、陽性的中率が低いことから多くを偽陽性と判定、不要な就労制限を課す可能性があること。
Dノロウイルス量が少ないために陰性と判定された偽陰性の無症状病原体保有者が、検査結果に安心して衛生管理を不十分にする懸念があること以上から、現時点ではノロウイルス検査を努力義務とする環境が十分整っておりません。このため、努力義務化は時期尚早であり、検査精度の向上、実効性ある検査制度の確立等の方策が図られた後に実施すべきと考えます。

・「有症の場合はリアルタイムPCR法等の高感度の検査方法、症状がない場合には簡易検査法を用いて差し支えないこと。」としている。ここでの簡易法とは、“イムノクロマト法”や“ELISA法”のような免疫学的検査のことを指すと思われるが、同じく免疫学的検査の“BLEIA法”については、感度が10の5乗と、リアルタイムPCR法の10の4乗には届かないものの、RT−PCR法と同等の感度を持つとされる。ノロウイルスの検便については、今後も迅速で、感度が良く、安価な検査方法の開発が進むと考えられる。従って、今回のマニュアル改正では、その点を見込んで、判断基準とする感度を数値で表記にして欲しい。そもそも、HACCPを導入というのに『高感度』という言語データを基準としているのは相応しくないと考える。

A「大量調理施設衛生管理マニュアル」の一部改正についての意見募集結果について(2008年06月24日)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495070188&Mode=2
意見
ノロウイルス対策を盛り込んだことは食中毒の発生件数や患者数から観ても当然な事と思います。ただ、新旧共に腸管出血性大腸菌O157とだけ記載されていますが、国立感染症研究所の統計資料をみますと3類感染症である腸管出血性大腸菌の中でO157が占める割合は毎年2/3程度しかありません。検出頻度からしてもO26、O111を加えるべきだと考えます。この2つの血清型を加えれば腸管出血性大腸菌の93%以上を網羅することが出来ます。しかもO157、O26、O111は専用の選択培地が市販されており、病院や臨床検査機関でも容易に検査することが出来ます。以上のことから、今回の改正において腸管出血性大腸菌についてもご検討をお願いします。
厚労省回答
腸管出血性大腸菌の検便についてのご意見を参考とさせていただき、本文U5.(4)A及びV1.(8)を修正させていただきます。

意見
病院等では、委託も増え大手の委託会社の考え方で検便が適正でないものもあり、従来の検査をすべてしていないところも出てきている。ほとんどの給食施設でベロ毒素産生菌の可能性菌を含めた大腸菌スクリーニング検査がなされているが、O157と明記してあるためか0157の検査のみしかしていないところもあるため、@従来の検査を具体的に記載していただきたい。AO157以外にもベロ毒素産生菌はあるので、O157の検査とのみ書かず、腸管出血性大腸菌の検査を行うことと記載を変更すべきである。
厚労省回答
従来の検査については、旧伝染病予防法に規定されていた経口感染する指定感染症(ポリオ、赤痢、腸チフス、パラチフス)であり、腸管出血性大腸菌感染症を含め、現在の感染症法の第三類感染症に該当するものです。ついては、ご意見を参考とさせていただき、「検便検査には、腸管出血性大腸菌を含めること。」と修正いたします。
意見
調理従事者等は・・・月に1回以上の検便を受けること。・・・また、ノロウイルスの検査を含めることが望ましいこと。
・マニュアル改正案で「望ましいこと」という表現が随所に用いられているが、各施設での判断が難しい。「望ましい」を多用しないでいただきたい。また、「望ましいこと」という表現では予算が付かない。
・ノロウイルスの流行期は秋から冬にかけてであるが、その他の期間も実施する必要があるか、「ノロウイルスの検査は流行期(11月〜4月)に実施する。」でいかがか?
・現在、ノロウイルス検査法は複数種あるが、それぞれ検出感度が異なる。調理従事者便からの検出レベルをどの程度とすべきか明確にしてほしい。
厚労省回答
・本マニュアルは大量調理施設が衛生管理を行う上のガイドラインであり、本マニュアルを基に、各施設の実態に応じた衛生管理が行われるものと考えています。
・ノロウイルスの検査には、種々ありそれぞれにより感度がことなることから、直ちにノロウイルスの検査を実施することは困難であると認識していますが、症状を呈しない不顕性感染による食中毒事例も報告されていることから、定期的に検便を行うことは意味のあることと考えています。また、春から晩秋の間はノロウイルス感染症患者も感染症情報センターの統計でも明らかであることから、検便項目にノロウイルスを追加することの意味は薄いと思われます。ついては、ご意見を参考にさせていただき、「また、必要に応じて、10月から3月にはノロウイルスの検査を含めること。」に修正いたします。

意見
「検便検査には、O157の検査を含めること。またノロウイルスの検査を含めることが望ましい。」とありますが、現在の検便検査での検査方法は、「複数の検査方法があり、検査方法により検査の感度及び費用も異なる。検査方法について指示するのか。
厚労省回答
検便検査については、様々な検査法により行われており、定期的な実施にあたっては施設の実態や病原体による疾患の流行状況等に応じて選択できるよう、本マニュアルにおいて特定の検査方法を指示することはありません。


感染症法に基づく腸管出血性大腸菌感染症届出基準
          (IASR Vol.27 p 149-149:2006年6月号)
(3)届出基準
ア.患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から腸管出血性大腸菌感染症が疑われ、かつ、次のの左欄に掲げる検査方法により、腸管出血性大腸菌感染症患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。以下略

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参考

▽ 感染症対策の見直しについて 厚生省保健医療局エイズ結核感染症課長 岩尾 總一郎

○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年十月二日)(法律第百十四号)(抄)
前文
人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症により、多大の苦難を経験してきた。ペスト、痘そう、コレラ等の感染症の流行は、時には文明を存亡の危機に追いやり、感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。
医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上により、多くの感染症が克服されてきたが、新たな感染症の出現や既知の感染症の再興により、また、国際交流の進展等に伴い、感染症は、新たな形で、今なお人類に脅威を与えている。
一方、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。
このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。
ここに、このような視点に立って、これまでの感染症の予防に関する施策を抜本的に見直し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する総合的な施策の推進を図るため、この法律を制定する。
 〜本文略〜
附 則 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十一年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第十三条の規定 公布の日
二 第八章の規定、第六十一条第一項及び第六十九条第七号の規定並びに附則第三十四条の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
(平成一〇年政令第四一九号で平成一二年一月一日から施行)
(検討)
第二条 この法律の規定については、この法律の施行後五年を目途として、感染症の流行の状況、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展、感染症に関する知識の普及の状況その他この法律の施行の状況等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。
2 第六条に規定する感染症の範囲及びその類型については、少なくとも五年ごとに、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。
(伝染病予防法等の廃止)
第三条 次に掲げる法律は、廃止する。
一 伝染病予防法(明治三十年法律第三十六号)

二 性病予防法(昭和二十三年法律第百六十七号)
三 後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(平成元年法律第二号)

〜中略〜

第四章 健康診断、就業制限及び入院
 (健康診断)
第十七条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し当該感染症にかかっているかどうかに関する医師の健康診断を受け、又はその保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)に対し当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に健康診断を受けさせるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者について、当該職員に健康診断を行わせることができる。
3 都道府県知事は、第一項に規定する健康診断の勧告をし、又は前項に規定する健康診断の措置を実施する場合には、同時に、当該勧告をし、又は当該措置を実施する理由その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を実施すべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
4 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、当該健康診断の勧告又は措置の後相当の期間内に、同項の理由その他の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。
(平一一法一六〇・平二〇法三〇・一部改正)
(就業制限)
第十八条 都道府県知事は、一類感染症の患者及び二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者又は無症状病原体保有者に係る第十二条第一項の規定による届出を受けた場合において、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該者又はその保護者に対し、当該届出の内容その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知することができる。
2 前項に規定する患者及び無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。
3 前項の規定の適用を受けている者又はその保護者は、都道府県知事に対し、同項の規定の適用を受けている者について、同項の対象者ではなくなったことの確認を求めることができる。
4 都道府県知事は、前項の規定による確認の求めがあったときは、当該請求に係る第二項の規定の適用を受けている者について、同項の規定の適用に係る感染症の患者若しくは無症状病原体保有者でないかどうか、又は同項に規定する期間を経過しているかどうかの確認をしなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、当該患者又は無症状病原体保有者の居住地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する協議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合で、あらかじめ、当該協議会の意見を聴くいとまがないときは、この限りでない。
6 前項ただし書に規定する場合において、都道府県知事は、速やかに、その通知をした内容について当該協議会に報告しなければならない。
(平一一法一六〇・平一八法一〇六・平二〇法三〇・一部改正)

○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成十年十二月二十八日)(厚生省令第九十九号)(抄)

(就業制限)
第十一条 法第十八条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
 一 当該届出の内容のうち第四条第一項第三号、第四号及び第六号に掲げる事項に係る内容
 二 法第十八条第二項に規定する就業制限及びその期間に関する事項
 三 法第十八条第二項の規定に違反した場合に、法第七十七条第四号の規定により罰金に処される旨
 四 法第十八条第三項の規定により確認を求めることができる旨
 五 その他必要と認める事項
2 法第十八条第二項の厚生労働省令で定める業務は、次に掲げる感染症の区分に応じ、当該各号に定める業務とする。
 一 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブルグ病及びラッサ熱 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務及び他者の身体に直接接触する業務
 二 結核 接客業その他の多数の者に接触する業務
 三 ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。以下単に「重症急性呼吸器症候群」という。)、新型インフルエンザ等感染症、痘とうそう、鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH五N一であるものに限る。次項において「鳥インフルエンザ(H五N一)」という。)及びペスト 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務及び接客業その他の多数の者に接触する業務
 四 法第六条第二項から第四項までに掲げる感染症のうち、前三号に掲げるもの以外の感染症 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務
(管理人註:腸管出血性大腸菌の患者又は無症状病原体保有者は上の行の赤字の部分の業務はできない。これ以外の疾病は制限内容がもっと厳しいことに留意)

新潟市食品衛生法に基づく公衆衛生上必要な基準等に関する条例 (平成12年3月28日)(条例第9号)
(趣旨)
第1条 この条例は,食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)の定めるところによる営業に係る公衆衛生上必要な基準及び食品衛生に係る手数料について定めるものとする。
(管理運営基準)
第2条 法第50条第2項の営業者の遵守すべき管理運営基準は,別表第のとおりとする。ただし,市長は,公衆衛生上支障がないと認めるときは,営業の形態その他特別な事情により基準を一部緩和し,又は適用しないことができる。(平16条例3・一部改正)
〜中略〜
8 従事者の衛生管理
(1) 常に従事者の健康状態に留意し,従事者が飲食物を介して感染するおそれのある疾病にかかったとき,その疾病にかかっていることが疑われる症状を有するとき,又はその疾病の病原体を保有していることが判明したときは,営業者は,その旨を従事者から報告させ,医師の診断を受けさせるよう努めること。
(2) 保健所長から検便を受けるべき旨の指示があった場合は,従事者に検便を受けさせなければならないこと。
(3) 従事者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条第1項に規定する一類感染症,同条第3項に規定する二類感染症若しくは同条第4項に規定する三類感染症の患者又は同条第10項に規定する無症状病原体保有者であることが判明した場合は,病原体を保有していないことが判明するまで食品等に直接接触する作業に従事させないこと。
(4) 従事者には,食品取扱場内で清潔な外衣,帽子等を着用させ,清潔な履物を用いさせ,必要に応じてマスクを着用させること。また,製造,加工,処理又は調理を行う際は,従事者は,指輪,腕時計その他の手指の洗浄及び消毒の妨げとなるものを身につけないこと。
(5) 従事者には,食品等又は容器包装への異物混入の原因となり得るものを食品取扱場内に持ち込ませないこと。
(6) 従事者には,つめを短く切らせ,作業前,用便後及び生鮮の原材料,汚染された材料等を取り扱った後は,手指の洗浄及び消毒を行わせること。また,洗浄及び消毒後は,適切な方法で乾燥させること。
(7) 従事者には,食品取扱場内で着替え,喫煙,放たん等をさせないこと。また,食品等を取り扱う作業中に,手若しくは食品等を取り扱う器具で髪,鼻,口若しくは耳に触れさせ,又は覆いのない食品等の上でくしゃみ若しくはせきをさせないこと。
(以下略)