食品衛生なんでも相談室トップ>|資料目次2資料目次1<相談室へ戻る>

(作成 2013/01/20 最終更新 2013/03/15)

資料31 大阪府食中毒速報に見る平成24年に発生した食中毒の特徴

 大阪府食中毒発生状況速報をみると、カンピロバクターの件数が3分の1になり、平成23年6月から食中毒として扱われることになった(参考1,2)クドア(Kudoa septempunctata)によるものが9件発生し原因物質として同数の第2位に急浮上した。

 カンピロバクターの件数減は平成23年4月の焼肉チェーン店のユッケによる食中毒に端を発した肉の生食自粛の流れによるものと思われる。同時にサルモネラも例年10件程度の発生が平成24年には半減し、肉の生食がこれら食中毒の大きな原因であったことを示唆していると思う。

 ノロウイルスは感染性胃腸炎が例年に比べ早い時期から多発し、かつ遺伝子タイプGII/4の新しい変異株の流行により大流行が危惧されていたが(参考3)、2006年(事件数60件、患者2966名)に比べると少ない数に抑え込むことに成功したといえる。

 補足:クドアとはヒラメなど魚の筋肉に寄生する粘液胞子虫です。1gに100万〜1000万個以上の胞子が含まれていることがあります。5時間ほどの潜伏期の後下痢・嘔吐や腹痛を呈し、2割程度の人では発熱が起きます。予後は良好で24時間程度で回復します。(参考4,5)

表1 過去5年間の5つの原因による事件の推移(大阪府)

H20年 H21年 H22年 H23年 H24年
件数 患者数 件数 患者数 件数 患者数 件数 患者数 件数 患者数
総 数 96 2071 69 1028 72 1228 60 1974 69 916
病因物質判明 88 1943 61 920 65 1155 57 1855 67 889
細菌 サルモネラ 12 471 11 133 11 179 7 219 4 20
腸管出血性大腸菌 1 0 3 6 0 0 2 7 1 28
カンピロバクター 38 406 22 165 30 181 27 212 9 35
ウイルス ノロウイルス 17 370 14 431 16 440 13 332 29 569
寄生虫 クドア・セプテンプンクタータ 0 0 0 0 0 0 0 0 9 55


平成24年11月末現在 平成23年





大阪府食の安全推進課:食中毒発生状況速報(平成24年12月31日現在から)
http://www.pref.osaka.jp/shokuhin/shokutyuudoku/hasseijoukyou-h24.html
http://www.pref.osaka.jp/shokuhin/shokutyuudoku/hasseijoukyou-h23.html

参考1 生食用生鮮食品による原因物質不明有症事例への対応について(平成23年6月17日 食安発0617第3号)
参考2 クドアを原因とする食中毒の発生防止について(平成24年6月7日 食安発0607第7号)
参考3 大阪府公衆衛生研究所:大阪府における感染性胃腸炎の届出状況と過去の推移
参考4 生食用生鮮食品を共通食とする病因物質不明有症事例を巡る経緯/厚労省監視安全課(平成23年4月25日)
参考5 生食用ヒラメで食中毒 寄生虫「クドア・セプテンプンクタータ」が原因/大阪府立公衆衛生研究所,公衛研ニュース第47号(1)(平成24年7月19日)