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(作成 2014/01/30 最終更新 2015/03/01)

資料33 アニサキスによる食中毒発生状況(厚生労働省 食中毒事件一覧速報 より)

 厚生労働省の食中毒統計でアニサキスによる食中毒は従来、病因物質を「その他」として計上されてきた。
 平成25年の統計から病因物質が「寄生虫-アニサキス」として計上されるようになり、アニサキスによる食中毒の発生状況が明確に分かるようになった。
 


(1)平成25年 月別発生状況(確定)

    アニサキス食中毒には2月〜3月と9月〜11月の二つのピークがあります。これは、マサバとサンマの旬にあたります。

アニサキス食中毒(H25年)
発生月 件数 患者数
1月 2 2
2月 7 7
3月 7 7
4月 3 3
5月 3 4
6月 5 5
7月 4 4
8月 8 8
9月 16 16
10月 19 19
11月 9 9
12月 5 5
総計 88 89

(2)原因となった魚種と調理法
 

 アニサキスはサバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマなどによく寄生していることが知られています。
 食中毒事件一覧表の病因物質、原因食品から食中毒の原因となった魚種を集計するとサバとサンマで大多数を占めています。

@ 原因となった魚種
魚種は確定したもののほか、疑われたものを含みそれぞれが計上されています。 
(例えば、「サバ、アジを含むにぎり寿司」などはサバとアジの両方に計上)
従って、発生件数が少ない「ヤズ、ヒラメ」は同時に疑われた「サンマ、カツオ」が原因であった可能性が高いと思われます。
魚種 件数
サバ 28
サンマ 11
イナダ、ブリ 3
カツオ 3
アジ 2
イワシ、
シコイワシ
2
キンメダイ 2
スルメイカ 2
アオリイカ 1
サワラ 1
ヤズ 1
ヒラメ 1
不明 40
97



A 原因となった調理法

アニサキスは加熱や冷凍で死滅しますので、鮮魚の生食が原因となります。
通常の料理で用いる程度のお酢では死滅せず、シメサバを原因とした事件が多く起きています。
また、、通常の料理で用いる程度のワサビ、しょう油などでは死滅しません。
調理法 件数
刺身 29
刺身、寿司 1
刺身、シメサバ 3
シメサバ 14
棒寿し 3
寿司 13
刺身醤油漬け 1
不明 25
89
註:「刺身、シメサバ」は両方の調理法で提供されたことを示します。


B サバとサンマ
マサバの旬は寒鯖と秋鯖、サンマの旬は秋です。
アニサキスの原因食品として「サバ」が登場した平成16年以降について月別発生状況を集計しました。
これによるとそれぞれの旬の時期にアニサキス食中毒が多発していることが分かります。
発生月 サバ サンマ
1月 7 0
2月 11 0
3月 5 0
4月 4 0
5月 3 0
6月 4 0
7月 2 0
8月 3 4
9月 11 9
10月 10 9
11月 7 3
12月 3 0
総計 70 25
2004年〜2013年

出典:厚生労働省 食中毒事件一覧速報(平成26年1月21日更新)より

参考: −東京都 食品衛生の窓−

魚を食べたら、激しい腹痛が・・・ 〜アニサキスによる食中毒〜
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/anisakis/index.html

魚介類のアニサキスを中心とした寄生虫の寄生実態調査
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/anisakis/tyousa.html