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(作成 2022/06/12)

資料39 病因物質別 食中毒 事件数の推移(平成8年〜令和3年)

1 食中毒発生件数は右肩下がり、2021年はコロナの影響で過去最低に

厚生労働省の統計資料を基に、1996年から2021年までの食中毒の発生件数*をグラフにしました。

2 病因物質別発生状況

次のグラフは上のグラフを病因物質別にしてみたものです。

我が国の食中毒発生件数は、アニサキスを除き減少の一途をたどっているように見えます。
アニサキスは平成25年から統計に計上されるようになりましたが、ここ4年間、発生件数第一位を続けています。
ノロウイルスは大流行した翌年は抗体保有者の数が多くなるため減少するようでジグザグの発生曲線を描くようです。
ノロウイルスの令和3年はコロナの影響もあり激減したが、令和4年には若年者(保育園児)等に抗体保有者が少なくなるため大きな発生が懸念されます。
腸炎ビブリオとサルモネラ属菌は激減したことがグラフから見て取れます。

3 ウエルシュ菌と病原大腸菌は減少傾向がみられない

「2021年の食中毒発生件数は過去最低を記録した」とマスコミでも報道されました。
そこで、主要病因物質について5年前の2016年(平成28年)と2021年(令和3年)との発生数の比較をグラフにしました。
  
  *:グラフは厚労省の食中毒統計資料、過去の食中毒事件一覧(国外、国内外不明を含む)をもとに作成しました。

上のグラフはそれぞれ年の病因物質別発生件数の合計を100とした場合の割合を示しています。

グラフから、アニサキスを除き他のものは全て減少したことが分かります。
寄生虫ークドア、ノロウイルス、サルモネラ属菌が大きく減少したことが分かります。

一方、ウエルシュ菌と病原大腸菌は余り減少しませんでした。この原因は良く分かりません。
この両菌とも温かい環境で放置されると増殖しやすい菌です。
また、コロナ禍による持ち帰り弁当の増加や給食業界の営業不振による調理従事者の人員削減があるようです。
推測ですが、これらのことによって加熱調理後喫食までの時間が延びているのかも知れません。

病因別食中毒発生件数の推移(R3年まで)[xlsx形式]